測定方法の分類
「直接測定」「間接測定」とは
測定方法には大別して「直接測定」と「間接測定」とがあります。それらをJISでは以下のように定義しています。
「直接測定」
測定対象量と関数関係にある他の量の測定にはよらず,測定対象量の値を直接求める測定方法。
注記 測定値に対して補正を行うために影響量の値を決定する補助的測定を行う必要があったとしても,その方法が直接測定であることに変わりはない。JIS Z 8103:2019 計測用語 - 基本用語「間接測定」
測定対象量と一定の関係にある幾つかの他の量の測定によって,測定対象量の値を導き出す測定方法。
簡単に言うと、「直接測定」とは対象物を直接的に測定器具で測定すること。例えば、ノギスで長さを測定することが挙げられます。「直接測定」は、対象の特性や性質を直接的に測定することができ、比較的高い精度が得られることが特徴ですが、反面、測定誤差が出やすい面もあります。
それに対し、「間接測定」とは対象物の別の特性や性質から測定値を求めること。例えば、体積から質量を求める場合などが挙げられます。この場合、直接に質量を測定することはできませんが、物質の密度や体積を測定することで、質量を求めることができます。「間接測定」は、対象を直接測定することができない場合に有用な手法であり、測定の手間やコストを削減することができます。
「絶対測定」「比較測定」とは
一方、測定方法を「絶対測定」と「比較測定」に分類する概念もあります。同じくJISではそれらを以下のように定義しています。
「絶対測定」
a) ある組立量を,それに関連する全ての基本量の測定によって決定する測定方法。
b) ある量を,その量の単位の定義に従って現示させ,測定する測定方法。JIS Z 8103:2019 計測用語 - 基本用語「比較測定」
同じ種類の量と比較して行う測定。
例 ブルドン管圧力計で,既知圧力と測定圧力との指針の振れを比較して行う測定
「比較測定」を簡単に言うと、ある基準値や標準物質と比較して測定対象の特性や性質を測定すること。例えば、ブロックゲージなどの基準片と測定対象を同時にダイヤルゲージで測定して、その差から長さを求める場合などが挙げられます。「比較測定」は、測定器具の校正や製品の品質管理などで使用され、高い繰り返し精度が求められる場合に有用な手法です。
「間接測定」と「比較測定」の関係
この中でわかりにくいのは、「間接測定」と「比較測定」の関係性。「間接測定」は被測定対象の直接的な特性を測定するのではなく、被測定対象とは関係のない物理量を測定して、その値から被測定対象の特性を求めることです。一方、「比較測定」は、標準値、基準物質、他の被測定対象、あるいは定められた規格に従って製造された人工的な対象と比較して、被測定対象の特性を評価することです。
つまり、「比較測定」は、標準値や基準物質などの既知の物理量を用いて、被測定対象の特性を求めるため、「間接測定」の一種と言えます。