ダイヤルゲージについて

比較測定器とダイヤルゲージ

比較測定器とは・・・

内径、外径、高さなどを測定する際に、測定部位の寸法に合わせて予め準備したリングマスターやブロックマスターなどの基準ゲージ(マスターゲージ)と比較して、基準ゲージからの差を求める測定方法を比較測定と呼びます。
比較する際にダイヤルゲージを用い、基準ゲージからの差を数値で求める測定器(「内径測定器」「外径測定器」「高さ測定器(平面スタンド)」「面取り測定器」)と通止めで判定する「限界ゲージ」に分類されます。


「比較測定器①:比較測定器とは」で説明したように、比較測定器は、測定をする際にダイヤルゲージを用い、基準ゲージからの差を数値で求める測定器(「内径測定器」、「外径測定器」、「高さ測定器(平面スタンド)」、「面取り測定器」)と通止めで判定する「限界ゲージ」に分類されます。
「比較測定」はある基準値や標準物質と比較して測定対象の特性や性質を測定することで、例えば”長さ”の測定において、ブロックゲージなどの基準片と測定対象を交互に「ダイヤルゲージ」で測定して、その差から測定対象の長さを求める場合が挙げられます。
「比較測定」を行うための測定器を「比較測定器」と呼びます。「比較測定器 ②:測定手順」に書いたように「比較測定器」の中でも、”長さ”を測る比較測定器、その中でも”内径”、”外径”、”高さ(幅)”、”面取り”を測る測定器は「ダイヤルゲージ」を使用して測定を行います。

ダイヤルゲージとは

「ダイヤルゲージ」については、「JIS B 7503:2017 ダイヤルゲージ」で以下のように定義されています。

「ダイヤルゲージ」

測定子を備えたプランジャの移動量を機械的に拡大し,アナログの円形目盛上で回転する指針によって表示する測定器。
注記 長針の回転数又は測定子の移動量を,短針によって表示する機能を備えているものもある。

JIS B 7503:2017 - ダイヤルゲージ

機構的に言うと、左図に示したように、ダイヤルゲージとは、測定子が付いたスピンドルの上下の直線運動を歯車によって回転運動に変換し、目盛りと指針でその動きの大きさを表すゲージです。

ダイヤルゲージの種類

ダイヤルゲージは、標準のアナログ目盛の小径~大径のほか、デジタル表示、スピンドル式やてこ式など、比較測定の多様な種類が用意されています。
下図は、ミツトヨ製のダイヤルゲージを示しています(なお、写真はミツトヨ公式サイト https://www.mitutoyo.co.jp/ からの転載)。ダイヤルゲージは、標準のアナログ目盛の小径~大径のほか、デジタル表示、スピンドル式やてこ式など、比較測定の多様な種類が用意されています。
最も一般的な、0.01mmや0.001目盛りの標準 形ダイヤルゲージAや、その針が1回転限定のもの、デジタル表示のデジマチックインジケータ、テコ式のテストインジケータなどがラインナップされており、用途に応じて使い分けます。

標準形ダイヤルゲージ A

目量0.01 mm・測定範囲5 mm、連続目盛

標準形ダイヤルゲージ A

目量0.001 mm・測定範囲1 mm、連続目盛

標準形ダイヤルゲージ 1回転未満タイプ A

目量0.01 mm・測定範囲0.8 mm、バランス目盛

ABSデジマチックインジケータ

最小表示量 0.001 mm/0.01 mm切替、ピーク検出機能付

テストインジケータ 縦形・標準

目量0.01 mm・測定範囲0.8 mm

図. 各種ダイヤルゲージ

この中で針の回転を1回転に規制したダイヤルゲージとそうでない標準品のメリット、デメリットについて説明します。
下図に多回転ダイヤルゲージと1回転ダイヤルゲージを示しています。図では、例として目盛りは両方とも1μm(=0.001mm)のものを使っています。

多回転ダイヤル(小針あり)

大針が多回転する機構
【注意点】大針が多回転となる為小針も読取る必要がある

1回転未満ダイヤル(小針なし)

大針が1回転以上は回らない機構
【注意点】1回転以上しない為、ゼロ点の位置管理が必要(針が振り切った部分で読取るリスクがある)

図.多回転ダイヤルゲージと1回転ダイヤルゲージ

多回転ダイヤルゲージの方は、中央部下部に小針(図内の青枠部)がついています。この小針は大針が1回転すると1目盛だけ進むようになっています。なお、大針1回転で200目盛分回転しますのでスピンドルが0.2mm動いたことを意味します。その時、小針の目盛りは1目盛分回転します。図の例では、小針の最大値は1.0でこれは1.0mmまで可動するということで、このダイヤルゲージの測定範囲(可動範囲)は1.0mmということになります。
これに対し、1回転ダイヤルゲージは、小針はついておらず、大針のみです。大針は1回転分しか動作できませんので(図の例では測定範囲は0.1mm)多回転ダイヤルゲージ(図の例では測定範囲は1.0mm)より測定範囲は小さくなります(この図の比較で、測定範囲は1/10)。
測定範囲が広いということはそれだけで汎用性の面ではメリットではありますが、デメリットにもなります。それは小針の位置を見落とす間違いが発生する可能性があるということです。
例えば、小針を見落として大針だけを見て測定したとすると、大針1回転分だけ違っていても見落としてしまうことになり、図の多回転ダイヤルゲージの例では、大針1回転で0.2mm分だけ(2回転なら0.4mm)測定値が違うということを意味します。したがって、小針を見落として大針だけで判定した場合、1回転なら0.2mmの違い(2回転なら0.4mm)があるにもかかわらず気付かず、その結果、合否判定を間違う原因になるのです。
1回転ダイヤルゲージはそういった小針見落としによる測定間違いを防止するために使われます。
そういった間違いを防止するためにも、多回転ダイヤルゲージを使用する際には、常に小針まで読み取りをする、あるいは、マスター合わせの場合に、小針の位置を0から次の目盛りの間(図の例では、”0-0.2”の間)で設定することを標準として徹底するなどの対策が必要になります。