幾何特性用測定器
幾何特性の種類
ISO/JISでは、「幾何特性」について適応する形体や幾何公差の種類によって下表のように分類しています。
適応形体 | 幾何公差の種類 | 幾何特性の種類 | 記号 |
---|---|---|---|
単独形体 (データム不要) | 形状公差 幾何学的に正しい形体(例えば,平面)をもつべき形体の形状偏差に対する幾何公差 | 真直度 平面度 真円度 円筒度 線の輪郭度 面の輪郭度 | |
関連形体 (データム要) | 姿勢公差 データムに関連して,幾何学的に正しい姿勢関係(例えば,平行)をもつべき形体の姿勢偏差に対する幾何公差 | 平行度 直角度 傾斜度 線の輪郭度 面の輪郭度 | |
位置公差 データムに関連して,幾何学的に正しい位置関係(例えば,同軸)をもつべき形体の位置偏差に対する幾何公差 | 位置度 同心度 同軸度 対称度 線の輪郭度 面の輪郭度 | ||
振れ公差 データム軸直線を中心とする幾何学的に正しい回転面(データム軸直線に直角な円形平面を含む。)をもつべき形体の振れに対する幾何公差 | 円筒振れ 全振れ |
この中で「データム」とは、わかりやすく言うと、「測定する際の基準となる寸法」のことです。図面で関連形体の幾何公差を指定する場合に、基準となる軸、面、寸法をアルファベットで指定しますが、そのアルファベットをデータムと呼びます。
製品図面に記載された「幾何特性」「幾何公差」を正しく評価するには、その意味するところを正しく理解し、それに沿って適切な測定方法を選ぶ必要があります。
幾何特性用測定器
製品図面に記載された「幾何特性」「幾何公差」を正しく評価するには、その意味するところを正しく理解し、それに沿って適切な測定方法を選ぶ必要があります。
上述した通り、上表の幾何特性を測定するための測定器を幾何特性用測定器と呼んでいます。これらは絶対測定となり、内径、外径、高さ、幅、深さ、面取りのような比較測定ではないため、基準となるマスターは不要です。
幾何特性用測定器とは・・・
幾何特性を測定するための測定器でダイヤルゲージを使用した測定器と位置度を測定するピッチゲージがあります。
比較測定に必要な基準マスターは必要ありません。
幾何特性とは「形体、姿勢、位置及び振れを規制する特性」です(JIS Z8114「製図-製図用語」による)。幾何特性は、下記のように形状特性、姿勢特性、位置特性、振れ特性に分類されます。
- 形状特性:真円度、平面度、円筒度 他
- 姿勢特性:平行度、直角度 他
- 位置特性:位置度、同心度(偏肉)、同軸度 他
- 振れ特性:円周振れ、全振れ
上表で示した通り、幾何特性は適用する形体によって、データムを必要とする「単体形体」とデータムを必要とする「関連形体」に分類できます。「単体形体」に適用する幾何公差は「形状公差」、「関連形体」に適用する幾何特性は「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」に分けられます。
このうち「形状公差」には、真円度、平面度、円筒度 他が存在しますが、データムを必要としない「単体形体」ですので幾何特性によって測定方法や測定器の形状はある程度特定されてきます。
一方、「関連形体」の「姿勢特性」(平行度、直角度 他)、「位置特性」(位置度、同心度(偏肉)、同軸度 他)、「振れ特性」(円周振れ、全振れ)については、測定の基準となるデータムを指定するため、その測定方法は測定対象品の形状によって様々異なってきます。そのため、正確な測定を実施するためには、幾何公差、データムおよび対象品の形状をよく吟味し、基準面の固定方法やダイヤルゲージのあて方など測定方法や測定器形状を見定め、製作する必要があります。
当サイトでリストアップしている幾何特性用測定器については(比較測定器も同じですが)、製作実績のあるものをサンプルとして挙げていますが、前述したように、測定特性や製品形状によって都度検討、必要に応じてワンオフで設計します。このサイトに挙げた測定器以外にも数多く製作した実績がございますので、まずは測定器の検討をご遠慮なくご用命ください(検討は無料にて対応)。