比較測定器 ③:マスターゲージ(基準ゲージ)

マスターゲージ(基準ゲージ)とは

「比較測定器」を使用して測定を行う場合、「測定部位の寸法に合わせて予め準備したリングマスターやブロックマスターなどの「マスターゲージ(基準ゲージ)」と比較して、基準ゲージからの差を求める」ことを行います。「比較測定器②:測定手順」で説明したように、「マスターゲージ(基準ゲージ)」を用いてダイヤルゲージの「マスター合わせ(ゼロ合わせ)」を行います。「マスター合わせ」とは、測定寸法に合わせた基準となるマスターゲージを使ってダイヤルゲージの針をゼロに合わせる作業のことです。
下図のように、基準となるマスターゲージは、内径・外径測定の場合はリング形状の「マスターリング」、高さ・幅測定の場合はブロック形状の「マスターブロック」を用います。

マスターリング、マスターブロックとは・・・

比較測定器を使って測定する際に用いる基準ゲージ(マスターゲージ)のことで、内径・外径用のリング状のものをマスターリング、高さや幅用のブロック状のものをマスターブロックと呼ぶ。ちなみに、この基準ゲージからの差を求める測定方法が比較測定である。

「マスターゲージ」は基準となるものであり、高精度、耐摩耗性、高硬度、経年変化しないなどの性質が求められます。そのために、材質選択や熱処理などを適切に行うことが重要です。
一般的に材質は、SK材(炭素工具鋼)、SKS材(合金工具鋼)が使用されます。当社のマスターリング、マスターブロックには『SKS3』を使用しています。SKS3は、Cr(クロム)及びW(タングステン)を含有し、SK3と比較してより焼入れ硬さや耐摩耗性に優れています。また、焼入・焼戻しの熱処理をした後、『ザブゼロ処理』(0℃以下で急速に冷却する処理のこと)を施し、研磨加工で数ミクロン(1/1000)の公差で所定の寸法に仕上げます。この『サブゼロ処理』をすることによって、材料の硬さUP、硬度を均一化、耐摩耗性UP、経年変化防止といった効果を得られます。

マスターリングのリメーク(径寸法修正)について

比較測定器でゼロ合わせに使われるマスターの寸法は製品の測定対象となる内径、外径ですので、その寸法は製品寸法ごとに異なるのでそれに合わせて用意します。
一方、高価な材質に特殊な処理を施して、高精度精度に仕上げられたマスターリングはそれなりに高価です。
そこで当社では、下図のように使用しなくなったマスターリングの径寸法修正(リメーク)することで別の測定へ再利用することをご提案しています。内径用なら大きくする、外径用なら小さくする方向であれば手直し可能ですのでご利用ください。新品の価格に比べてお値打ちに行えます。

<特徴>
  • 製品打切り等、使用不要になった場合、転用が可能
  • 新作より安価(精度は合格)
  • 内径、外径共に修正可能

※当社の余剰品を御社用にリメイクすることも可能です