手はじめの手製本(中綴じ)

kensatoolsの製品案内(左上綴じA4版(左)と中綴じA5小冊子(右))

冒頭の画像は、kensatoolsの製品案内の小冊子です。こちらからダウンロードいただけます。

この小冊子は、両方とも、先日の展示会用に製作したものです。
実は、全く同じPDFファイルを設定を変えてプリンター(FujiXeroxのコピー機)で印刷したものです。

最初は左のように印刷して、綴じていました。
A4サイズの用紙の表と裏にそれぞれ2ページ分を順番に印刷していって左上をホッチキスで綴じた、という至って普通のものです。このPDFファイル(WORDでも、パワーポイントでもいいですが)を渡されて「印刷して!」と頼まれれば、これを作成するケースが大半だと思います。

中綴じA5小冊子

それに対して、冒頭の画像の右側のものは表と裏に2ページづつというのは同じですが、A5サイズになるように半分に折ってそれをページ順に重ねて、真ん中をホッチキスでとめたものです(左図)。これを製本用語では「中綴じ」と呼びますが、最も簡易的な製本方法の一つで、製品カタログや会社案内などページ数の少ない小冊子には比較的よく用いられる方法です。最初から中綴じにすればよかったのですが、印刷の設定画面を見ていて気付いて試してみたらできたといった次第です。
その結果、左上を綴じただけの”左上綴じA4版”と”中綴じA5小冊子”がそれぞれ半分くらいづつ出来上がりました。

実は、実際の展示会では、左上をとめただけのものと、中綴じA5小冊子をお持ち帰り用に並べて展示していたのですが、中綴じA5小冊子の方ばかり持っていかれ、すぐに品切れになってしまったのは驚きでした。
その理由を考えるに、左上をとめただけのものより、中綴じ小冊子の方が半分のサイズになり、それだけでコンパクト感が半端ないのと、製本効果と言ったらいいのか、小冊子としてのキッチリ感、tidy感が一見して感じられるために、こちらを手に取りたくなるのでしょう。

中綴じの小冊子を作るためには、半分に折った時に、順番に、p.1(表紙1)、p.2、p.3・・・p.(last-3)、p.(last-2)、p.(last-1)、p.last(表紙4)となるように印刷がされていなければいけません。ここでp.last(表紙4)というのは最後のページ数のことで中綴じの場合は4の倍数です。例えば、1枚ならp.4、2枚ならp.8、3枚ならp.12、4枚ならp.16となります。
具体的には、以下の図のように印刷されている必要があります。
一枚目の片方の上半分にp.1(表紙1)、下半分にp.(last)(表紙4)、反対側の上半分にp.2、下半分にp.(last-1)、二枚目の片方の上半分にp.3、下半分にp.(last-2)、反対側の上半分にp.4、下半分にp.(last-3)となります。これを専門用語で「面付け」と呼びます。

一枚目(裏側)二枚目(裏側)
p.2⬅ p.1(表紙1・表表紙)p.4⬅ p.3・・・
p.(last-1)⬅ p.last(表紙4・裏表紙)p.(last-3)⬅ p.(last-2)
中綴じの場合の印刷順序(面付け)

説明するとややこしく感じますが、これはPDFの印刷設定で勝手にやってくれます。PDF原稿自体はp.1から順番に並んでおり、それを面付けのように印刷してくれるということです。
今回の例では、印刷設定の”ページの縮尺:縮尺の種類”で”ブックレット”を選び、タイプで”冊子”を選びます。ただプリンターやコピー機側の設定(両面印刷は必須)との取り合いもあるので、設定したら最初から数ページ分をテストプリントしてみて面付け(ページ順の配置)がうまくできているかを確認した方がいいでしょう。

印刷できたら、半分に折りってページの順番通りに重ねます。この作業を「丁合(ちょうあい)」といい、折って重ねるのを「折り丁合」と呼びます。

最後に、半分に折った部分を内側からホッチキスで綴じて完成です。
その際、普通のホッチキスではやりにくいので、右図のようにそれ用のホッチキス(画像で使用しているのは、MAX製のホッチくる HD-10V)を使うとやり易くて便利です。
もし通常のホッチキスでとめる場合には、用紙の下に柔らかいもの(発泡スチロール、ダンボールなど)をかまして、ホッチキスを180度開いた状態で針の出る金属の部分を折った谷の部分に位置決めし、手のひらでホッチキスを上から押し付けて針を貫通させます。この状態では、針がコの状態で刺さったままですので裏側(表紙側)から針を内側に曲げて固定します。部数が少なければ、これでもいけます。

中綴じ用ポッチキス(MAX製ホッチくる)

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